002(株)オーシャンデイズ

法人組織化し、労務などを安定させ 好きなことを仕事に北海道の自然のありのままを次世代に伝えたい

支笏湖と積丹の2カ所を拠点に、ダイビングスクール・体験、シュノーケル体験、北海道初のクリアカヤックツアーと冬のプログラムを提供する「オーシャンデイズ」。同社代表にこれまでの道のりと今後の展望について語っていただきました。

板谷貴文(いたや・たかふみ)
(株)オーシャンデイズ代表取締役
1978(昭和53)年、釧路市生まれ
高校卒業後、沖縄でダイビングの仕事を経験。
2005年実家のある札幌でダイビングを提供、
2013年支笏湖へ拠点を移す。
2016年(株)オーシャンデイズ設立

自ら経営するゲストハウスにて、代表の板谷貴文さん
自ら経営するゲストハウスにて、代表の板谷貴文さん

直感からお金を貯めて沖縄へ

個人事業から始めて11年目。
38歳になりました。
生まれは道東の釧路市です。

小学校の時に札幌に引っ越しまして、高校はヤンキー先生で有名になった「北星余市高」でした。

ああいった連中が集まる学校でしたから、先生方も必死で生徒に接してくる。

生徒のふところの中まで入ってきて、距離がものすごく近いんです。
そこで「お前の夢は何か?何がしたいか」と語りかけてくるんです。
そのころから、自分は何をやりたいのか、漠然としたものを探る高校生でした。

高校卒業後は、いろいろなアルバイトをして生活していました。
毎日、なんとなく遊んでいるような状態。

ダイビングを始めたきっかけは、知り合いの女性がやっていたからです。話しを聞いていて、写真を見せてもらって。
へえ〜、おもしろそうだなあって。

修学旅行で沖縄に行っていたので、海の魅力は感じていました。

加えて、おじが札幌にいて、焼き鳥店を開いていました。
このおじが20数年間、世界をタンカーで巡る船上の料理人だったんです。大型船で世界各地を寄港していた話しを聞きながら、「冒険っていいなあ」と思うようになっていました。

そんなことが重なり、なぜか「ダイビングだ!」と直感しました。

当時トラックに乗る仕事をしていたんですが、翌日、社長に「50万円を貯めて、沖縄に行きます」と告げて、その目標に向ってまっしぐら。生活を切りつめ必死に働きました。

沖縄では最初、ダイビングショップで働き、浜での営業から始めました。観光客をつかまえては「こんにちは〜。ダイビングやりませんか〜っ」てね。

冬は北海道に戻っていましたが、2年やりました。

その後、ハワイでインストラクターになり、「マリンクラブナギ」「グットライフ」の立ち上げに加わり、沖縄での青の洞窟ツアーを開始。
カヤックでの無人島ツアーなど、先駆者として経験を積んでいきました。

潜水の技術は仕事のあいまを使って覚えました。
当時はもう、自分で営業して自分でガイドして、一人で潜っていました。

 

沖縄時代の一コマ
沖縄時代の一コマ

ある時、仲間みんなでテレビを見ていたんですね。
お金がなくても幸せだ、みたいなバラエティ番組を。

登場人物の給料が6万円と紹介され、笑って見ていて、ふと気づいたんです。「あれ、自分達と同じだ」って。
それから真剣に考えました。自分の将来を。

生まれ故郷・北海道でダイビングをしながら生きていきたい。
そんな思いを実現させようと動きました。
沖縄のみんなに止めろと言われながらも決意を固め、不安と闘いながら札幌の実家を拠点に、個人事業をスタートさせました。

2005年、自分27歳の時です。

 

積丹支店にて、シュノーケルツアーの出発前
積丹支店にて、シュノーケルツアーの出発前

店名はすっと決めました。
「サーフデイズ」というサーフィンのブランドがあり、自分は「海の一日、オーシャンデイズだ」と。
直感でしたね。

スタートは、当時はやっていたネットのコミュニティサイトで、「みんなでダイビングしませんか?」と呼びかけ、サークルのノリでお客さんを探しました。

とはいっても、いきなり利用者は現れません。
数年間は日雇いの仕事をしながら食いつないでいました。

 

家族ができて拠点を固める

事業はしばらく一人で運営していました。
ダイビングやってみたいという人を積丹のセタカムイというスポットに案内していました。

そんな2009年、妻となる女性に出会いました。

彼女はオーストラリアでライセンスを取得していたダイビング仲間。
彼女と「結婚しよう」と思い、そのためには事業を軌道に乗せねばと、頑張りました。

結婚をして34歳の時、長女が誕生するんですが、これを機に、支笏湖というすばらしいフィールドをご縁を通して知りました。

以前は体験ダイビングをやっていた方がいましたが、今は実施していないということで、拠点を設けることを決め、家族で移住しました。

 

支笏湖温泉街にあるゲストハウス前で
支笏湖温泉街にあるゲストハウス前で

支笏湖の温泉街近くで体験ダイビングとシュノーケルのプログラムを提供し、同時に、北海道でのダイビングのメッカ・積丹でも希望があれば連れていって潜ってくる、という体制が整ってきました。

そんなある時、支笏湖で自然体験を提供しているカヌーやカヤックのガイドたちと「湖の清掃をしよう」と呼びかけ、支笏湖の掃除をすることにしたんです。

このことを聞きつけた地元の新聞記者が紙面に大きく取り上げてくれたことから、この記事に感銘を受けたという方から連絡があり、使っていない店舗を譲り受けることになったのです。
で、ここを活動の拠点に、ゲストハウスとして運営しています。

 

「“沖縄式”をここ北海道に根付かせたいですね」
「“沖縄式”をここ北海道に根付かせたいですね」

法人組織化し、労務などを安定させ一生の仕事を提供

現在、スタッフは4人です。通年雇用しています。

加えて、ヘルプを頼める非常勤の人が1人。
自分を入れて6人体制です。

われわれの業界は、夏場は忙しく休みもなく働いて、冬場はちがう仕事をしている、というところが多いのですが、ウチはできるだけ、週休2日を取れ、通年で仕事ができる環境を整えるようにしています。

アウトドア関係の人は、自然は大好きだが、お金に関しては無頓着の人が多い。しかし自分としては、法人組織化して、スタッフにも給料をきちんと出し、ちゃんと普通に生活ができるようにしてあげたい。

そうしないと、この先、未来がないと思っているのです。

ウチで働いてほしい人は、いちガイドとして力を貸してくれるだけではなく、自然の遊びを通して広く、長く、経験を共有する仲間のような存在になれる人を希望しています。

 

オーシャンデイズ
支笏湖でのクリアカヤックツアーの一コマ

次のシーズンでは、事業拡大につきスタッフも募集中です。
またアウトドアガイドのレベルが高いネパールとの関係も深めていきたいと思っています。

支笏湖・積丹は、まだまだやれることが残っています。

支笏湖に関しましては、国立公園内なので、制約も多々あるのですが、できる可能性は追求していきたいと思っています。

 

 

撮影・文 花岡俊吾(北海道体験.com)

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